親知らずは抜いた方が良いのか?

患者さんの悩みの中の一つが「親知らず」です。患者さん自身も抜いたほうが良いのか、抜かないで済むのか分からず悩んでいる方も多いです。「抜くのは怖い」というイメージも当然あります。親知らずに関する次のアンケート結果をご覧ください。

■有効回答数:1,000件(ウェブログイン式)
このアンケートを見ると40%の方が親知らずを抜いていますね。 抜いた本数はまちまちです。

親知らずはどういう症状を起こすのか?

親知らずは、一番奥に生えてくる歯です。現代人の顎は小さくなってきているので、親知らずが手前の歯のようにちゃんと真っ直ぐ生えてきて咬むというケースは少ないです。

斜めに生えてきたり、手前の歯の間に食べ物がはさまって虫歯を作ったり、歯茎が腫れたりします。一番奥で歯ブラシも届きにくいのでなおさら厄介です。

親知らずを抜いたほうがいい場合

簡単に言うと、「すでに腫れたり、痛みがあるなどのトラブルが起きている場合」、また「将来的に腫れたり痛くなるリスクが高い場合」は、親知らずを抜いたほうがいいという判断になります。
抜歯したほうが良い主なケースをご紹介しましょう。

歯茎の炎症が繰り返されるとき

親知らずが一部だけ生えてきたり、横向きに生えてくるとその周囲に食べかすがはさまったりし易くなり、また、その様な場所はいくら一生懸命歯ブラシをしても完全には汚れを落とすことは困難です。 結局親知らずの周囲が常に汚れている状態になり、感染が起こり、歯茎が腫れたり痛んだりすることがあります(智歯周囲炎)。 智歯周囲炎が短期間のうちに何度も繰り返される場合は、抜歯するケースがあります。

虫歯・歯周病を招くリスクが高いとき

親知らずにたまった汚れ先ほどの文章にあるように、正常に生えていない親知らずは汚れが溜まりやすく、また歯ブラシを丁寧にしても完全に綺麗にすることが困難なため、親知らずだけでなく、手前の歯も虫歯にしてしまうリスクがありますし、歯茎が腫れる原因となることもあります。親知らずや隣の歯に虫歯や歯茎が腫れるおそれがある場合は、抜歯するケースがあります。

歯並びを乱すリスクが高いとき

親知らずが並ぶスペースが足りないのに無理に親知らずが生えてくるため、手前の歯を押してしまい手前の歯が重なったりねじれたりして歯並びを乱してしまうリスクがあります。歯並びが乱れるのを避けるために抜歯するケースがあります。

親知らずを残しても問題がない場合

親知らずが普通に真っ直ぐに正しく生えていて、上下の親知らず同士が他の歯と同じように正常に咬み合っている場合や、歯磨きでしっかりと汚れを管理できて腫れたり虫歯を作る危険が少ない場合などは、抜歯する必要はありません。

また、親知らずが完全に歯茎のなかの深い所に埋まっている場合は、抜かなくても問題がありません。ただし、埋まっていても比較的歯茎の浅い所に埋まっていると歯茎が腫れたりすることはあります。また、完全に埋まっていても横向きに埋まっていて、手前の歯を押して歯並びを悪くするケースはあります。

親知らずの治療イメージ ところが親知らずは長い時間をかけて少しずつ生えたり動いたりします。また、磨くのが難しいため、今は磨けているつもりでも何年かするとやはり自分で気づかない間に虫歯になったりすることもあります。体調不良で全身の抵抗力が落ちたときに歯茎が腫れてくることもあります。

抜歯するかしないかの判断は時間とともに変わってきます。

今は大丈夫でも、いつ何時腫れたり痛みを引き起こすか分かりませんので、心配な方は定期的に歯医者さんでチェックを受けるようにしましょう。